りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

郵便配達は二度ベルを鳴らす(ジェームズ・M・ケイン)

イメージ 1

1934年に書かれ、映画化7回、邦訳6回を記録する大ベストセラーの新訳です。ジャック・ニコルソンジェシカ・ラングが共演した1981年版の映画を見たことがありますが、2人ともかなり好演していたように記憶しています。

ストーリーはシンプル。1930年代のカリフォルニアで、ギリシャ移民のニックが経営するダイナーで働くことになった流れ者のフランクが、ニックの妻コーラと計って、ニックを殺害しようとする物語。一度目は失敗したものの、二度目は成功。検事から偽装殺人を疑われたものの、保険会社との取引によって無罪に。しかし、犯罪者がハッピーエンドを迎えることはない・・という物語。

本書が大ヒットしたのは、コーラという女性が時代を反映していたからなのでしょう。女優を夢見てハリウッドに出てきたものの夢破れて金目当ての結婚をし、次いで不倫相手と共謀して夫を殺害するという悪女が、
決して特別の女性ではなく一般人にすぎない「犯罪の大衆化」とか「ゴシップ記事化」が始まった時代ですね。

「読後に嫌な気分になるミステリ」のことを「イヤミス」というそうですが、本書も「元祖イヤミス」の一冊だったのではないかと思います。

2016/5再読