両親の失踪後に預けられた叔父の家でネグレクトされ続けた真由、継父から性的虐待を受けたリオナ、レイプにあって望まない妊娠をしたミト。それそれの理由で日常生活を失い、家を出た3人の女子高生たちは、男たちのむき出しの欲望が襲い掛かってくる路上で生き延びていけるのでしょうか。若い女性が読んだら、間違いなく男嫌いになれる作品です。
近未来の荒廃した東京で生き延びる孤児を描いた『優しいおとな』、国籍も持たずにナポリのスラムを彷徨う少女たちを描いた『夜また夜の深い夜』、原発爆発で荒廃した警戒地域で発見された少女を描いた『バラカ』と比較しても、本書に登場する少女たちの姿はリアルであり、それだけに救いがありません。非現実的な救世主など、はじめから期待できないのです。
本書の執筆に際して、行き場のない中高生のための支援団体「Colabo」を取材した著者は、「少女たちの自己評価の低さに違和感を覚えた」と述べています。貧困から逃れるために、いとも簡単に性搾取ビジネスに取り込まれ、自己嫌悪に陥るとメンヘラと罵られ、監禁、暴行、自殺という痛ましい結果に陥るケースが多すぎるというのです。
本書に登場する3人の女子高生たちは、それぞれの生い立ちによって、大人への期待感、正義感、生きる熱量、サバイバル術、不幸の受容度などは異なっており、相手を認め合えないことも多いのです。それでも彼女たちは、何とか自分たちだけで生きていこうと決意し、そのスタートを切れる地点には達したようです。続編を考えているという著者が「彼女たちの未来を考えると無力感が募る」と述べるほどに、現実は厳しいのですが。
2018/11