りぼんの読書ノート

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妖星伝 3 神道の巻(半村良)

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常に歴史の陰に潜み、世に退廃と戦乱をもたらしてきた異能集団・鬼道衆。徳川の世で二派に分裂していた鬼道衆の闘争が、外道皇帝の再来とともに終結しようとしています。しかし、手打ちを前提として超能力を競っていた宮毘羅・日天と因陀羅・信三郎の間に、地球外の存在が割りこんできました。

長く遺伝子の中に潜んだ末に少年として生を受けた外道皇帝。地球へと追われてきて小太郎と星之介の身体に宿った生命体。2人を追ってきた闇の旦那。4者の闘いが、四天王(持国天増長天広目天多聞天)の対峙として知覚されるという設定は、鬼道衆が十二神将を名乗ることと整合していますね。

本巻で、外道皇帝が地球の因果を操って「生命が生命を喰らい合う地獄の星」としてしまった理由が明かされます。それは「時間が意志を持った」という警告を告げるためだったというのですが、その具体的な意味は次巻以降でわかってくるのでしょう。

本巻ではまた、外道皇帝の天敵として美少女・天道尼が登場。因果のひずみが生み出した存在のようですが、彼女もまた不可侵の身体どころか、全てが自然に意のままに運んでしまうという不思議な能力を有しているのです。紀州での桃源郷生活を破壊された医師・櫻井俊作と朱雀のお幾の動向と並んで、次の展開が気になります。

2016/6再読