りぼんの読書ノート

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妖星伝 5 天道の巻(半村良)

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いつの世も悪逆と淫欲の限りをつくしてきた「鬼道衆」についての物語は、本巻で一応の決着がつくことになります。外道皇帝の正体も、伝説の黄金城の所在も明らかになって、伝説の「地獄祭」を執り行うことをきめた鬼道衆は、外道皇帝の天敵として生み出された天道尼を祭りの生贄としようと画策するのですが・・。

かなりぶっ飛んだ展開になっていきます。天道尼こそが、鬼道衆が崇めてきた「両性具有の破戒仏」であり、絵島の絵馬や、将軍詰めの秘密を解く鍵でした。このあたりは、かなり無理筋の気もしますが、理解できる範囲でしょう。地球を「生命が生命を喰らい合う地獄の星」とした外道皇帝が、最後の仕上げに必要としたものが、究極の生命維持行為であったということなのですから。

黄金城を擁する亜空間が閉じられようとする中で、主役級の人物が次々と死んでいくのですが、彼らには霊的存在としての役割がありました。これこそが、鬼道衆が存在した意味であり、ひいては地球の生命が存在した理由だったのです。タイトルの「妖星」とは、地球のことにほかなりません。

では、宇宙的な使命を果たし終えて抜け殻となった地球で、残された人類はどう生きていくのか。それこそが、第6部「人道の巻」のテーマなのでしょう。

2016/7再読