りぼんの読書ノート

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妖星伝 2 外道の巻(半村良)

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1970年代を代表する「伝奇小説」を再読しています。

常に歴史の裏に潜んで、社会を混乱に陥れ、時の政権を倒してきた「鬼道衆」とは何者なのか。遠い過去に失われて久しく、彼らが探し求め続けている「外道皇帝」や「黄金城」とは何なのか。江戸中期を舞台にして、さまざまな伝承と史実を混ぜ込んだ物語は、どこに行きつくのでしょう。

第2巻でも、鬼道衆の分裂状態は継続しています。宮毘羅・日天が率いる主流派は江戸を包囲し、因陀羅・信三郎が率いる反主流派は江戸に籠って、にらみ合いを継続。2人の異星人(小太郎、星之介)は日天と行動をと共にする一方で、江戸ではついに外道皇帝が遺伝子の中から蘇ります。現世での両親となったのは、医師・櫻井俊作の妹・久恵と、反主流派に組した迷企羅・静海でした。

さらに上空には、小太郎を追ってきた闇の旦那が率いる異星人集団が待機しているという、混戦状態。この時代に起きていた越後地震は、小太郎と星之介が、円盤群と闘ったことで発生したのですね。

この種の小説は竜頭蛇尾に陥ることが多いので、最後のネタバレまで引っ張れるだけ引っ張るのが定石なのですが、宇宙人や円盤を持ち出すのが少々早かったように思えます。しかも、21世紀では誰もまともに受け取らない「円盤」ですからね。ただ、本書の真のテーマである「なぜ地球が、生命を喰らいあう地獄なのか」という大ネタについては、発想も持ち出し方も見事です。

2016/6再読