りぼんの読書ノート

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森見登美彦の京都ぐるぐる案内

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太陽の塔』、『四畳半神話大系』、『きつねのはなし』、『夜は短し歩けよ乙女』、『有頂天家族』、『宵山万華鏡』、『聖なる怠け者の冒険』・・京都を舞台にした小説を描き続ける著者による、不思議な京都案内です。

ここには、清水寺も、金閣寺も、銀閣寺も、龍安寺も、嵯峨野も、まして太秦映画村も登場しません。本書で紹介される「スポット」の一部を列挙してみましょう。

・『有頂天家族』で矢四郎が酔いを醒ますためにもたれかかった「四条大橋
・『夜は短し』で黒髪の乙女がずんずん歩いた「先斗町
・『四畳半神話大系』で明石さんが店番をしていた「下鴨神社
・『四畳半王国見聞録』の大日本凡人會が暇つぶしに歩く「哲学の道
・『聖なる怠け者』で小和田君がアルパカ似の男に出会う「レストラン菊水」
・各作品に登場する「叡山電車
・やはり各作品に登場する小道具が揃う「伏見稲荷大社
・タイトルがそのものズバリの「太陽の塔」(ただし大阪なので「番外編」扱い)

京都は、やはり一筋縄ではいかない「現実と妄想が螺旋を描いて交わる都市」のようです。著者自身も、本書に収録された随筆で「学生時代の経験と思い込んでいたら、自分が小説に書いたことだった」などと語っているほどなのですから。

海外を除けばずっと関東暮らしだったのですが、仕事の関係で3年半前から大坂に住んでいます。数えてみたら、全部日帰りですが、京都に17回も観光に行っていました。まだまだ楽しめそうです。

2016/5