遠未来。超光速航法を入手して恒星間宇宙へと進出した地球人類は、数々の地球外知的生命体とのコンタクトも果たした結果、調査を目的としながらも重度に武装した宇宙艦隊を保有するようになっています。本書は、はからずも派遣先で遭遇した知的生命体との接触の最前線に立つことになってしまった、不運な戦場カメラマンの物語。
戦場カメラマンの石塚旅人が乗り組んだ宇宙調査艦隊が、突如、沖ノ鳥島星系を襲撃してきたエイリアンと交戦状態に。戦闘のさなか撮影を続けていたタビトは、つい孤立して、敵の捕虜となってしまいます。実はエイリアンの艦隊も調査艦隊だったのですが、どうも様子がおかしいのです。この、大型ネコ科動物のような外見をしたエイリアンは、高度な文明と、激しい攻撃性と、最低の作戦能力を併せ持つ、矛盾だらけの存在なのです。
本書のテーマは、人類の想像を超えたエイリアン文明の実態を推測しながら、共通点の少ない相手とどのように接触するべきなのか、ということですね。オタク的な要素もふんだんに盛り込みつつ、コミカルに描いた作品ですが、テーマは意外と深いのです。
「単品」として読んでしまいましたが、本書はシリーズ2作めとのこと。究極の目的は、「黎明の播種者の探索」のようですが、どのように展開されるのでしょう。途中経過は読まなくてもいいのですが、著者が導き出そうとしている結論は気になります。
2016/5