りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

そして父になる(是枝裕和/佐野晶)

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2013年に製作された同名の映画のノヴェライズです。

主人公は、学歴も仕事も家庭も手に入れ、自分が「人生の勝ち組」だと信じて疑っていない良多。しかし、病院からの突然の連絡で、6年間育てた息子は病院で取り違えられた他人の子供だったことを知らされます。しかも、実際の自分の息子を育てていたのは、良多からみれば「人生の負け組」のような対照的な家族。

重要なのは遺伝子なのか、それとも共に過ごした時間なのか。究極の選択を迫れた良多でしたが、はじめて妻や息子と真剣に向き合い、答えを出すに至るのです。その選択に至る触媒的な役割を果たしたのは、もちろん対照的なもう一方の家族ですが、それだけではありません。良多自身の、実父と義母との長年の確執。取り違えを起こした看護師の家族関係。仕事での挫折。それらが全部からみあって、良多の人生観を覆していくのです。

主役の良多を演じたのは福山雅治。相手の家族の父親・雄大リリー・フランキー。ここまではイメージ通りです。ただ、良多の妻・みどりを演じた尾野真千子と、雄大の妻・ゆかりを演じた真木よう子は、本書を読む限りでは逆のイメージ。いや、実際に映画を見ると納得するのかもしれませんが・・。

2016/3