りぼんの読書ノート

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ふたり十兵衛(谷津矢車)

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時は三代将軍家光の治世。泰平となったはずの天下で大乱を目論む悪人と対峙するのは、隻眼の剣豪・柳生十兵衛・・とくれば、講談活劇の世界。

しかし本書に登場する十兵衛は、とうの昔に剣を手放しており、すっかり頭脳派の読書男子。では戦うのは誰なのか。それは、やはり隻眼で筋骨隆々、いかにも剣術者といった出で立ちの速水一兵衛。彼は、十兵衛の乳母子として育った家来なのでした。

こんな2人で1組の「ふたり十兵衛」が巻き込まれたのが、小田原城下で起きた不審な出来事。家光の勘気を蒙って小姓を首になり小田原で謹慎中だった十兵衛は、小田原城主・阿部備中守から不逞浪人の調査を依頼されるのですが、相手はまさに「魔」だったのです。

「魔」の正体はさておき、聖徳太子が使ったという「志能備(しのび)」の末裔という美少女くのいちの「霧」や、十兵衛の出来過ぎた弟の柳生左門、そして黒幕として控える実父の柳生宗矩らも活躍する、楽しい物語に仕上がっています。

2016/3