りぼんの読書ノート

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螺旋階段のアリス(加納朋子)

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脱サラ探偵・仁木の前に突然現れた、アリスに憧れる美少女の助手・安梨沙。こんな2人が、一見不思議に思える日常的な事件を解決していく物語。『不思議の国のアリス』の世界を散りばめた連作短編集ですが、一番の謎は、安梨沙の正体だったのです。

「螺旋階段のアリス」
仁木探偵事務所が受けた最初の依頼は、亡くなった主人が隠したはずの、銀行の貸金庫の鍵を見つけて欲しいというものでした。家の中を完璧に管理していたはずの妻が、なぜ家の中に隠してあった鍵を見つけられなかったのでしょうか。

「裏窓のアリス」
嫉妬深い夫が浮気調査を頼みに来る前に、浮気していないことを証明するという調査。向かいのビルに住む美しい社長夫人が、こんな不思議な依頼をしてきたのには、やはり理由があったのです。彼女がしていたことは、決して浮気ではなかったのですが・・。

「中庭のアリス」
行方不明になった犬を探して欲しいという、老婦人からの依頼。しかし同居している姪によると、そんな犬はもともといないそうなのです。果たして老婦人は、その犬を30年間飼い続けているとのこと。やはりその犬は、老婦人の妄想にすぎないのでしょうか。

「地下室のアリス」
仁木が務めていた会社の地下3階は書類倉庫。今回の依頼は、鍵のかかった無人の書類倉庫で鳴る電話の真相を調べて欲しいというものでした。事件は単純なものと思われたのですが・・。

「最上階のアリス」
大学時代の先輩が奥様からしばしば頼まれるという、せいぜい1時間ほどの小さなお使いには、恐ろしい意図があったのです。しかし、世間知らずの研究者である夫を愛している奥様の真意には、深い意味があったのでした。

「子供部屋のアリス」
入院施設も整っている産婦人科の医者からの依頼は、赤ん坊を預かって欲しいというものでした。その医院にも、入院患者にも、新生児にも、おかしなことは何もないのですが、なぜこんな不思議な依頼が来たのでしょう。

「アリスのいない部屋」
仁木には「しばらく休暇を取る」と言い、父親には「仁木さんのところにいる」と言い残したまま、安梨沙が行方不明になってしまいます。しかも彼女は嘘はついていないのです。彼女なぜ失踪し、どこに身を潜めているのでしょうか。

最後の事件は、続編の『虹の家のアリス』 に続くようです。ちょっと間を置いてから、読んでみましょう。

2016/3