りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

虹の家のアリス(加納朋子)

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螺旋階段のアリスの続編です。脱サラ探偵の仁木順平と、押しかけ助手の美少女・安梨沙が遭遇する「日常に潜む奇妙な事件」は、「ある結末」に向かって進んでいきます。

「虹の家のアリス」
「二児」を持つ母親たちの育児サークルへの嫌がらせは、誰が何のために行っているのでしょうか。ただし、その手口はわりと幼いのです。どんな集まりにも、損な役回りの人っていますよね。

「牢の家のアリス」
以前も登場した産婦人科で、今度は赤ちゃん誘拐事件が発生。密室状況だったのになぜ・・というトリックよりも、誰が何のために・・という真相が、軽く「イヤミス」です。

「猫の家のアリス」
クリスティーの『ABC殺人事件』のように、ネット仲間のネコたちが、アルファベット順に殺害されていく事件が起こります。果たして、依頼人の飼い猫ダニエルの運命は・・。ラストは意外なハッピーエンドでした。

「幻の家のアリス」
安梨沙の実家でお手伝いをしている女性からの依頼は、なぜ安梨沙から突然嫌われてしまったのかという、お悩み相談でした。いや、安梨沙は、別に彼女のことが嫌いになったわけではなかったのですけれどね。

「鏡の家のアリス」
仁木の息子が、依頼人として初登場。結婚を心に決めた恋人が、ストーカーにつきまとわれているというのです。ストーカーの正体は横恋慕した女性だったのですが、人を第一印象だけで判断してはいけませんね。

「夢の家のアリス」
同じ町内で相次いで発生した花盗難事件は、サラッと解決してしまいますが、その過程で、安梨沙がある決意を固めます。

はじめは頭のいい不思議少女だった安梨沙が、だんだん成長してきた過程はよくわかるのですが、その結末はそれでいいのでしょうか。きっと著者の優しさが、こういう結末にさせたのですね。個人的には納得いかないのですが・・。

2016/5