りぼんの読書ノート

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ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女(ダヴィド・ラーゲルクランツ)

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世界的なメガヒットとなった「ミレニアム3部作」の著者スティーグ・ラーソンは、第1部の出版前に急逝してしまったため、続編はありえないと思っていました。ただ、第3部までにほとんど登場しなかったものの、決着がついていなかった重要キャラクターがひとり残っていたことに、気づいていた読者は多かったことと思います。

私もずっと気になっていたのですが、まさか「別の作家による続編」という禁じ手が使われるとは思っていませんでした。しかも、キャラ設定も、ストールーの継ぎ目もスムーズで、作者が変わったと言われなければ気づかないほどの「完璧な続編」だったのですから、読む前と読んだ後と2度驚かされてしまったのです。

さて物語です。雑誌「ミレニアム」は経営危機に陥り、代表者ミカエルも「過去の人」扱いされつつある中で、ある情報がもたらされます。人工知能研究の世界的権威であるバルデル教授が犯罪組織から狙われているというのですが、それだけでは気乗りしません。ところが「凄腕ハッカーでタトゥーとピアスだらけの女」がからんでいるというのです。もちろん、リスベットに違いありません。

しかしミカエルがアポをとったその日に、バルデル教授は襲われてしまうのです。なんとか連絡を取り合ったミカエルとリスベットは、教授の息子を守りながら、「サノス」と名乗る正体不明のボスに率いられた謎の犯罪組織と死闘を繰り広げることになるのですが・・。

今まで説明がなかった、リスベットのコードネームが「ワスプ」である理由も、サラッと触れられます。それは、なぜ正体不明の敵が「サノス」と名乗るのかという説明にもなっているんですね。このあたりは、まるでオリジナルの著者が、初めから狙っていたような背景ストーリー。

ラーゲルクランツは3作契約を結んでおり、続編が2年に1冊ずつのペースで刊行されるとのことです。今から楽しみです。

2016/5