りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

2016/1 オルフェオ(リチャード・パワーズ)

新年早々ですが、リチャード・パワーズの新作も、ポール・オースターの新作も、宮部みゆきさんのファンタジーも、少々期待外れ。『オルフェオ』を1位としたのは、消去法です。★はつけませんでしたが、一番おもしろかったのは、『テスタメントシュピーゲル 2』だったりして・・。
1.オルフェオ(リチャード・パワーズ)
マチュア用の生物学実験キットを用いてネズミの遺伝子改変を試みている老年の男が、当局から「バイオテロ」を疑われて逃走劇を開始。活動停止中の前衛音楽家である男の逃走先は、過去の人間関係でした。20世紀以降の音楽論とともに語られる彼の人生は、何を生み出し、何を残していくのでしょうか。音楽と遺伝子というかけ離れたテーマを組み合わせた作品ですが、どちらも著者の得意のテーマです。

2.7は秘密(リンジー・フェイ)
1845年に創設されたニューヨーク市警の「初代警官たち」の物語。激しい社会変動と政治対立の中で創設された市警は、市民から「常備軍」として非難され、敵意と不信で迎えられたとのこと。政治活動を優先させる警官や、露骨に悪事を行う警官も多い中で、孤立を恐れず正義を貫こうとする主人公は、ニューヨークにおける黒人奴隷の問題に踏み込んでいきます。

3.べっぴん(諸田玲子)
第1作から15年かけて第4作まで出版された、息の長いシリーズの第3作です。はじめは、反骨心旺盛な色男を主人公にした、ちょっと変わった捕物帖という感じでしたが、ここにきて主人公の成長物語という側面が顕れてきました。本書では、不幸な生い立ちから実父に復讐心を抱いた女性の姿が描かれます。


2016/1/30