りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

撲撲少年(仁木英之)

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唐時代の中国を舞台にした仙人ファンタジー僕僕先生の著者による「現代仙人もの?」と思ったら、字が違っていました。あちらは「にんべんの僕」で、こちらは「てへんの撲」だったのです。なんと、総合格闘技小説だったのです。

大学を留年してしまった勇吾はバイト先で、幼馴染みの女性・湊と再会します。共通の旧友である鉄也の情報を得た勇吾は、彼のいる総合格闘技ジム「アライズ」を訪問。昔と変わらずひ弱そうな鉄也に誘われて、軽い気持ちでスパーリングに付き合ったものの、まさかの惨敗。それどころか、鉄也は勇吾に含むものがあるようなのです。くやしさから鉄也との再戦を望んでジムに通い始めた勇吾は、プロの格闘家たちの真摯な姿に触れるうちに、格闘技に魅力を感じ始めるのですが・・。

もちろん、プロで最強をめざす「スポーツ小説」ではありません。格闘技を通じて心身を鍛えつつ、幼い日の行き違いに端を発した三角関係にケジメをつける「青春小説」なのです。ただし、鉄也や湊のキャラ設定や、勇吾との関係が不自然で、読後感はイマイチ。本書で一番魅力的だったのは、バイト先のカレー屋のおばさんたちでした。^^;

2016/1