りぼんの読書ノート

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最後の嘘(五十嵐貴久)

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吉祥寺のコンビニでアルバイトをしながら探偵業を営む「バツイチ・息子アリ」の川庄を主人公とする、シリーズ第2弾。主人公のキャラのせいなのか、時代の要請なのか。交渉人・遠野麻衣子シリーズとは異なり、なんとなくユルメの作品になっているようです。

今回の物語は、市長選挙を間近に控えた政治家・榊原からの、娘を探して欲しいとの依頼から始まります。名門の家系に生まれ、やがては総理も目指そうとしている政治家には、過去に別れた女性との間に隠し子がいたのです。ずっと支援をしてきたものの、真相を知った娘が家出をしたというのです。

しっかりしていて早熟のようでも、まだ女子高校生。彼女の純真な怒りは、さまざまな勢力に利用されてしまい、やがては犯罪と悲劇に結びついてしまうのですが・・。

一方の政治家・榊原も、スキャンダル漏洩防止と、父娘の愛の狭間に揺れ続けていました。「お家大事」の老秘書もいいキャラですが、榊原も最後には、自分が本当に守るべきものに気づいたようです。真相は闇の中に葬られてしまいそうですが、「嘘も方便」ということですね。このシリーズ、出張の際の軽い読み物には使えそうです。

2015/10