1983年の『カンガルー日和』に収録されていた短編が、ドイツのデュモン社から、カット・メンシックさんのイラスト付きの絵本として出版されたものです。シリーズになっており、『ねむり』と『パン屋襲撃』に続く3冊目とのこと。なかなかダークなイラストを描く方ですね、
以前読んだことがあるはずですが、微妙に忘れています。図書館の書庫係の老人に騙されて、地下迷路に幽閉された「僕」が、闇の世界で知り合った「羊男/美少女」と脱出をはかる物語。メインのストーリーラインはともかく、細部を覚えていないんですね。こういう作品は、細部こそが重要なのですが。
「新月の夜」というあたりは『1Q84』と、「むくどり」というあたりは鳥の名前と関係する他の作品とも関係ありそうです。そもそも、最後に明かされる「先週火曜日の母親の死」と、この体験の回想は、どういう関係にあるのでしょう。「しん」とした図書館が、墓場のイメージを呼び起こしたのでしょうか。このあたりは、様々な解説が成り立ちそうです。
2015/8