りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ひゃくはち(早見和真)

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硬式球の縫い目と、人間の煩悩の数は一緒だそうです。どちらも108。

甲子園常連の名門校の補欠球児だった雅人。恋人の言葉をきっかけにして蘇ってきた、封印していたはずの高校時代の記憶。野球漬けの毎日。高圧的な監督への反感。ベンチ入りできる16人にギリギリ入れるかどうか気を揉んだ瞬間。意外にも訪れた出場機会。合コン。事件。訣別・・。

意外なことに、社会人になってから知り合ったはずの恋人とは、高校時代に出会っていたようなのです。ではなぜ、雅人の記憶から彼女のことは欠落していたのでしょう。それは、封印していた過去の出来事と関係あるのでしょうか。

本書のテーマは「青春の理不尽さ」なのでしょうが、より具体的には「高校野球部の理不尽さ」と言い切ってもよいかもしれません。もっとも、同じような理不尽さはどのスポーツにもあるのでしょうし、女子スポーツの世界では別の種類の陰湿さもあるのかもしれません。もうすぐ高校野球やインターハイの季節です。

2015/8