『エンダー・シリーズ』の著者による新シリーズです。
彗星の月衝突により滅亡の危機に瀕した地球が、生き残りをかけて送り出した恒星間移民船は、実験的なジャンプを行った際に奇妙な出来事に遭遇します。宇宙空間のみならず、時間も超えて過去へと向かってしまったのです。
その一方で、中世的な世界を舞台にして、別の物語が進行していきます。人や動物の移動軌跡を見ることができる能力を持った少年リグは、父親を亡くした後で、自分に母と姉がいることを知らされます。父親の遺言で、姉と会うために帝都に向かったリグは、時間の経験速度を操れる少年アンボと行動をともにするのですが・・。
なぜ彼らは不思議な能力を持っているのでしょう。リグの姉バラムもまた、時間を跳躍する能力を持っていたのです。冒険の旅を続ける中で、彼らは「自分たちの星」のことを発見していきます。
なぜ、暦は11,191年起点にしてカウントダウンされているのか。金属でできた塔の正体は何なのか。なぜ世界は19に分割されていて、囲壁を超えることができないのか。19の宝石とは何なのか。そもそも、リグのみならず、アンボやバラムのことも指導していたという父親とは何者だったのか。ファンタジー的な要素を感じる展開ですが、背景にはSF的設定があったのですね。
本書はシリーズ第1作とのことで、次作は、ついに囲壁の向こう側に出た一行を待ち受ける物語になるとのこと。そして、過去へ向かうことのない地球からの第2船は、この世界を訪れるのでしょうか。第3巻まで刊行されたとのシリーズですが、最後まで挫折せずに邦訳を出版して欲しいものです。
2015/3