りぼんの読書ノート

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アレクシア女史、欧羅巴で騎士団と遭う(ゲイル・キャリガー)

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人間と異界族が共存する19世紀英国が舞台の「怪奇スチームパンクシリーズ」第3作。ロンドンでただひとりの「反異界族」で、接触している間は異界族を人間に戻す能力を持っているアレクシアは、人狼団の長であるマコン卿と結婚しているものの、前巻にて妊娠が発覚した途端、夫から放逐されてしまいました。異界族には繁殖能力はないため、不貞行為の濡れ衣をかけられてしまったのです。

もちろんアレクシアには見に覚えのないこと。濡れ衣を晴らすために「反異界族」の能力を解明する必要があると考えたアレクシアは、男装の発明家ルフォーと父親の執事だったフルーテを連れて、やはり反異界族であった父親の出身地フィレンツェへと旅立ちますが、行く先々で吸血鬼に襲われます。

一方ロンドンではマコン卿の副官ライオールが孤軍奮闘。姿を消した最高齢の吸血鬼アケルダマ卿の行方を追うだけでなく、アレクシアの放逐を悔やんで泥酔し続けるマコン卿の世話も焼かなければならないのですから。

「反異界族」の秘密とは何で、アレクシアらがイタリアで出会ったテンプル騎士団はどんな秘密を握っているのか。どうやら鍵は、アレクシアの妊娠にあるようです。異界族と反異界族の間に生まれる子どもとは、どんな存在なのでしょう。歴史的には極めて稀な存在で、過去にはパルミラゼノビア女王がそうだったというのですが・・。そして、アレクシアとマコン卿の関係は修復されるのでしょうか。

この巻では、人狼の「将軍」とともにビクトリア女王の執政を支えていた吸血鬼の「宰相」が命を落とすことになりますが、「宰相」はワルシンガム卿だったんですね。エリザベス時代からイギリスの政治を担っていたというわけです。^^

2012/3