りぼんの読書ノート

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ソフロニア嬢、空賊の秘宝を探る(ゲイル・キャリガー)

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「アレクシア女史シリーズ」も完結し、いよいよ新シリーズが開始されました。「吸血鬼や人狼らと人類が共存するヴィクトリア朝英国」という、前作と同じ世界観を共有するスチームパンクですが、時代は25年ほど遡ります。

花嫁学校(フィニシング・スクール)に入れられてしまったお転婆娘のソフロニアでしたが、このジェラルディン・アカデミーは、実は女スパイ養成所だったのです。「フィニシング」の意味が違ってますね。そこでの授業は、情報収集や毒物の使い方、異界族への対処などが中心。下級生の女生徒たちはまだ「女性の魅力」を使うには早すぎるのですが、まつげパチパチとかハンカチの落とし方とか、男性をとりこにする方法まで学べるのです(笑)。

男の子が入るバンソン校は「邪悪な天才」を養成する学校ですが、まだまだ悪ガキ程度。ローティーンの頃ならまだ、女の子のほうが早熟ですね。

同級生にシドフィーグ・マコンがいたり、ルフォーの叔母が教授で9歳のルフォーが登場したり、前シリーズとの連携もしっかりしています。謎の上級生の性悪美女モニカや、機関室(この学校は気球で浮いているんです)の煤っ子ソープや、ちょっと軽めの同級生ディミティなど、サブ・キャラもいいですし、ソフロニアのペットになったメカアニマル犬のバンバースヌートは可愛い。

本書のストーリーは、学校が手に入れた「試作品」を空賊と奪い合うというもの。これはアレクシアの時代には実現していた「エーテル通信」の重要部品なんですね。空賊の背後にいるらしき謎の人物ピクルマンの正体は、まだ見えてきません。「ハリー・ポッター」を意識したのか、1学年が1冊のようです。楽しいシリーズになりそうな予感がします。

2013/5