りぼんの読書ノート

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アレクシア女史、埃及で木乃伊と踊る(ゲイル・キャリガー)

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シリーズ最終巻となる第5作です。人類と異界族が共存する19世紀英国で唯一の「反異界族」であるアレクシアは、人狼のマコン伯爵と結婚して女王の諮問機関である「陰の議会」の議長となっていましたが、特殊能力を有する娘プルーデンスが生まれてからはいっそう多忙な日々をおくっていました。

そんなアレクシアに届いたのが世界最高齢の吸血鬼マタカラ女王からのエジプトへの招待。エジプトこそは「神殺し病」で異界族が消えた地であり、やはり反異界族であったアレクシアの父親が派遣されていた場所。夫と娘を連れてエジプトへと乗り込んだアレクシアは全ての謎を解くことになるのですが、そこには恐るべき「敵」も潜んでいたのです。

秘密の本質は、「不老不死とは何か」ということにあったのでしょう。なぜ不老不死の異界族が「永遠の生」を謳歌し続けていられないのか。その答えはマタカラ女王の「真の望み」と関わってきます。さらに人狼団のボスはやがて狂気に陥る運命にあると知らせれたアレクシアは、夫のことが心配になってきます。では解決策はないのでしょうか。そして執事フルーテが抱えていたもうひとつの秘密とは・・。

人狼団のベータのライオネルや、本当は吸血鬼になりたかった新入りのビフィや、アレクシアの親友であるアイヴィにも、それぞれ新しい運命が待ち受けているようです。最後まで楽しめたシリーズでした。

アレクシアの活躍する「パラソル奇譚シリーズ」はこれで終了ですが、続編や前日談もあるということなので、期待して待ちましょう。でも翻訳されるかなぁ。このシリーズを最後まで出してもらっただけでもハヤカワに感謝すべきかもしれません。

2013/2