りぼんの読書ノート

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ソフロニア嬢、仮面舞踏会を密偵する(ゲイル・キャリガー)

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19世紀のイギリスを舞台にしたスチームパンク・シリーズの3作目です。この世界では吸血鬼や人狼が人間と共存しているどころか、彼らが貴族として女王の顧問や軍隊となったことで、イギリスが世界に覇を唱えることができたとされています。

レディのための花嫁学校と間違われて、スパイ養成学校に入れられてしまった、中級貴族の娘ソフロニア嬢の活躍は続きます。ちなみにどちらも「finishing school」なんですね。もちろん後者はジョークですが。

今回の冒険は、ソフロニアの兄の婚約を祝う仮面舞踏会で始まります。メカ使用人がいっせいに制御不能になってしまったのです。ちょうどその時、親友で人狼団リーダーの孫であるシドフィーグが失踪。その背景には、アレクシア女史シリーズで触れられていた「あの事件」があったのですね。やがてシドフィーグに、自分の生き方を決断する瞬間が訪れます。

シドフィーグを故郷スコットランドに送る途中で遭遇したのが、性悪の先輩モニカが乗り込んでいた謎の列車でした。彼女は吸血鬼の取り巻きになっていたのですが、では、ここが陰謀の発信地だったのでしょうか。どうやらソフロニアたちは、人狼や吸血鬼らの異界族を敵視するピクルマンらが繰り広げる大騒動に巻き込まれたようです。そして、身分違いながら好ましく思っていた煤っ子ソープの運命も、ここで一転することになります。

次巻の最終巻を前にして、友人たちが次々と進路を決めていくなか、ソフロニアも重大な決断をしたようです。大親友のディミティとの関係がどうなるのかも気になります。ところで、アレクシア女史シリーズで生まれた、特殊能力を持つ特娘プルーデンスを主人公とする、少し大人向けのシリーズも始まっているとのことです。

2015/8