りぼんの読書ノート

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我慢ならない女(桂望実)

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著者が3年前に見た「不機嫌そうな女性の肖像画」からインスピレーションを得て、書かれた小説だそうです。

本書の主人公は苦悩する女性小説家のひろ子。18歳の時に小説家を志して上京。苦しい生活の中から必死に書き上げた作品が、なんとか新人賞に引っかかるまで11年。しかし売れない。編集者には読んでももらえない。たまたま過去の作品がドラマ化されて、一時の人気は出るけれど、書くことが地獄であることは変わらない。

そんな女性の半生を、姪の明子の視点から描きます。叔母に憧れて小説家を志望していた明子は、ひろ子の壮絶な生き方と小説に触れて、自分の甘い夢を断念。ひろ子の日常生活からマネージメントまでを世話するようになり、彼女を売り込むことに成功するのですが・・。

小説家にとって創作衝動と人気とは一致するものではなく、妥協を許さない執筆態度は気難しさと紙一重。2人に近づいてくる男性だっている。ひろ子と明子の信頼関係は、揺らがないのでしょうか。本書もある意味で、映画「アナと雪の女王」やドラマ「花子とアン」のような「ダブルヒロイン・ストーリー」なのでした。

そういえば、「詐欺師」夏子と「弁護士」徹子の2人の女性の半生を描いた嫌な女も、そうでしたね。

2015/2