りぼんの読書ノート

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天国の囚人(カルロス・ルイス・サフォン)

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1945年に始まる風の影と1917年に始まる天使のゲームに続く、「バスセロナの忘れられた本の墓場」シリーズ第3弾です。全部で4部作とのこと。

本書の時代は1957年。『風の影』の主人公であったダニエルは22歳の青年になって愛妻ベアとの間に息子を授かっており、父親のセンペーレ書店を手伝っています。ただし『天使のゲーム』で天真爛漫な少女であった母親イサベッラは既に亡くなっていました。

ダニエルは、結婚を控えた親友フェルミンの様子がおかしいことに気づきます。ダニエルから問い詰められたフェルミンは、過去の物語を語り始めるのですが、今まで話さなかったのは「ダニエルを真実から守るためだった」というのです。

フェルミンは、内線末期の1939年にモンジュイックの監獄に収容されていました。そこで彼は『天使のゲーム』の主人公であった作家ダビッド・マルティンと出会います。ダビッドは「ある罰」を受けているはずなのですが、監獄長マウリシオ・バルスの暴虐に苦しめられたのは、ダビッドを助けようと奔走したイサベッラでした。そして彼女の死の真相が明らかにされていきます。

やがて「忘れられた本の墓場」で彼に向けて書かれた『天使のゲーム』を発見したダニエルは、「自分の物語」が始まったばかりであることに気づかされるのです。おそらく第4部は、そこから現在へと続く物語となるのでしょう。そこでフェルミンは、イサックの跡継ぎになっていそうです。行方をくらましている「バルスがダニエルを探しているのではないか」というフェルミンの懸念も気になります。

2015/2