りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

オレたち花のバブル組(池井戸潤)

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3冊ある「半沢直樹シリーズ」の第2弾。なんとなく読み損ねていたのですが、ドラマが大ヒットしてからは超人気本となり、半年以上待たされました。読むのは半日なんですけどね。

大阪支店から東京中央銀行営業第二部次長に栄転した半沢直樹に押し付けられた難題は、巨額損失を出した老舗の「伊勢島ホテル」の再建。金融庁検査で再建不可と判断されると、融資責任が問われるのみならず、銀行の信用問題への悪影響も必至。しかし、ホテルの経営難情報を握りつぶして融資を実行させた者が銀行内にいたのです。

一方で、半沢と同期入行の近藤は、出向先の中堅電機メーカーで、社長と部下からイジメにあっています。粉飾決算の証拠となる裏帳簿を発見したものの、行方不明の金額の行方を捜すうちに浮かび上がってきたのは、東京中央銀行の上層部の関与でした。この2つの事件は関連していたのです。そして浮かび上がってくるラスボスの存在。

例によって「やられたらやり返す」半沢が、責任をとって潰される瀬戸際まで追いこまれながら、巨悪の尻尾と動かぬ証拠を掴んで逆襲に転じるのですが、こういう本を読むとがっかりしてしまいますね。いや、小説にではなく、「日本の銀行に巣食う官僚主義」の存在に。もちろんフィクションですが、似たようなことは実際にも起きていそうなのです。

官庁もそうなのですが、技術革新や顧客サービスなど外部との競争原理が働かない世界に、優秀な人たちが大量に存在すると、競争は内部へと向かうのでしょう。優秀な頭脳の持ち主が「足の引っ張り合い」をしていると思うと、憂鬱な気分になるのです。

2014/5