りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

老人と宇宙(そら)5 戦いの虚空(ジョン・スコルジー)

イメージ 1

宇宙に進出した人類は「コロニー連合」を形成して、非人類エイリアンたちと果てしない戦争を繰り広げていました。「コロニー連合」は、宇宙航空技術や殖民戦争の理由を地球に教えないまま、兵士と殖民者の供給基地として使っていたのです。その真相を明かして、人類と非人類の共存に希望を見出したのが、第4巻までのシリーズ本編ですが、本書はその後日談。

本編の主人公ジョン・ペリーとコロニー防衛軍で同期であったハリー・ウィルソンは、二流の外交チームの一員としてろくでもない任務に追われていました。しかし、人類と非人類の共存に反対する勢力は、そのどちらにもいたのです。一流の外交チームが消滅させられた時、ハリーのチームは極秘で「切り札」に昇格させられていたのです。

かくして、妨害を撥ね退けながらの苦難の外交交渉が始まります。ミサイルで攻撃を受けたり、人類の陰謀の証拠を相手側からつきつけられたり、行方不明になった宇宙船の謎を追ったり・・。そして、地球の軌道エレベーター上のステーションで歴史的なイベントが行われる日に、謎の敵による決定的な攻撃が開始されるのです。

地球とコロニー連合が分裂させられたら、人類の絶滅までたった30年というシミュレーションもある中、「敵」は人類内部にいるのか、非人類エイリアンの側にいるのか。そしてハリーらの運命は・・ということで、新シリーズが開始されるようです。しかし、75歳以上の老人をサイボーグ化して死地に送り込み、人類防衛の盾とするという発想の、初期の面白さは既に失われています。

付録として、本篇の前日譚「ハリーの災難」と、後日譚「ハフト・ソルヴォーラがチュロスを食べて現代の若者と話をする」が収録されています。ハフトはハリーらと同じ立場にある、非人類の外交官です。

2014/2