りぼんの読書ノート

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老人と宇宙(そら)6 終わりなき戦火(ジョン・スコルジー)

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戦死率が異常に高い異星人との戦争において、老人たちに若返った身体を与えて「人類コロニー連合」の兵士とするというアイデアから始まったシリーズですが、かなり遠いところまで来てしまいました。そもそも本編は「第3巻」で終了しており、「第4巻」は別の視点から見た物語で、「第5巻」は本編の後日談でしかないのです。

しかし「第5巻」の事件は単なる後日談ではなく、宇宙世界の未来に関わる話であったことが次第に明らかになっていきます。人類出生の地である地球を隔離して都合よく利用しながら、宇宙での覇権を目指していた「コロニー連合」の政策は変わるのでしょうか。そして人類は、宇宙の孤児である状態を脱することができるのでしょうか。

謎の組織「均衡」に拉致されて脳を宇宙船に移植されてしまった操縦士。異星人たちの反コロニー連合「コンクラーベ」の舵取りに悩む顧問官。コロニー連合からの分離運動を操る勢力と戦う女性中尉。そして本編の主人公であったジョーの戦友で、今はコロニー連合大使の護衛を務めるハリー。これら4者の視点から連作的に語られる物語は、宇宙規模の危機を多角的に描いていきます。結局のところ、新たな共通の敵の出現が、平和をもたらすことになるのですね。第1巻から10年かけて綴られたシリーズは、この巻で終わることになりそうです。

2018/8