りぼんの読書ノート

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ハタラクオトメ(桂望実)

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すでに多くの作家が「働く女性たちの痛快お仕事小説」というジャンルの作品を手がけていますので、テーマ自体には新味はありません。でも県庁の星の著者である桂さんにとって、これは得意分野ですね。中堅時計メーカーという、実際にもダイバーシティの遅れていそうな会社を舞台にしたのがミソでしょうか。また「157cm、100kgの愛くるしい体形」で「明るいデブキャラ」の女性を主人公に持ってきたことで、全国の太め女性にもエールを送っています。

中堅時計メーカーに就職して5年の北島真也子は、人事部に異動されたばかり。ニックネームは見たまんまの「ごっつぁん」。ひょんなことから「女性だけのプロジェクトチーム」のリーダーに抜擢されて新製品の開発を求められてしまいます。部署を超えて集められたメンバーは、孤高の営業女性に、地味な経理部員に、飛んでる宣伝部員に、美形の秘書女性に、甘え上手な後輩。バラバラな人選ですけど、ひとつだけ共通点がありました。それは皆、仕事にやりがいを感じていないこと。

嫌々始めたプロジェクトということもあって最初の開発品はあっけなくボツ。でも悔しさは残りました。再挑戦の機会では、だんだんやる気も出てきます。そして生れたアイデアと試作品。でもその良し悪しを判断される前に、よくわからない男社会のルールに邪魔されるわけにはいきません。大緊張しながらも、見栄・自慢・メンツ・根回し・派閥争いの渦中にいる上司たちに働きかけるのですが・・。

デブを逆手にとって「デブキャラ」をゲットしにいくポジティブ・シンキングな主人公がいいですね。彼女が提供する料理もおやつもおいしそうで、いかにも人間関係を円滑化させそうです。でも、こういう友人がいたら間違いなく太るだろうな(笑)。

2013/11