りぼんの読書ノート

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ぼくたちのアリウープ(五十嵐貴久)

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バスケ一筋の中学生活をおくりながらも、文武両道の超名門私立高に奇跡の合格を果たしたジュンペーが、憧れのバスケ部に入部届を出したところ、3年生が起こした不祥事によってバスケ部は1年間の活動停止で、顧問もドシロートの若い女性教師に変わっていました。

それでもバスケ部入部にこだわるジュンペーに対して、とばっちりを食っている2年生部員は「入部は認めるが何もするな」というだけで、玉拾いや基礎練習すらさせてくれません。他の1年生部員も次々と辞めていく中で、バスケしかないジュンペーは、「勝てば練習参加、負ければ退部」というわけのわからない勝負を2年生チームに挑みます。

ところが残っている1年生のバスケ経験者は、たった2人だけ。ようやく集めたメンバーは、1年生に好意的な女子チームにすら翻弄される有様なんですね。果たしてこれで、高校生活を賭けた勝負に臨めるのでしょうか・・。

アリウープ」とは、空中でパスをキャッチしてそのままシュートを打つとのバスケ用語です。瞬間の判断とアクションを必要とするアリウープは、いきあたりばったりにギリギリの勝負を挑むジュンペーにふさわしいタイトルになっています。

交渉人』シリーズや『パパとムスメの7日間』など多彩なジャンルの小説に挑む著者ですが、本書は『1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター』や『2005年のロケットボーイズ』に近い雰囲気を持った作品です。ただ、ちょっと軽すぎるのは主人公のキャラのせいでしょうか。

2012/7