りぼんの読書ノート

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幽霊なんて怖くない(山本弘)

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お勧めの本を紹介しあう書評会を競技化した「ビブリオバトル」を題材にした「BISビブリオバトル部シリーズ」の、翼を持つ少女'''に続く第2作です。

自分の大好きなSF作品について熱く語ることの楽しさに気づいた、不思議少女の伏木空は、部員としてすっかりなじんでいます。しかし、ノンフィクション至上主義でSFを否定している同級生の埋火武人の心をSFに向けさせることには、まだ成功していません。

本書では、造り酒屋をしている埋火の家で合宿した際の「怖い話」をテーマにしたバトルと、公共図書館で実演した「戦争」をテーマにしたバトルが紹介されます。前者では『時間の種(ジョン・ウィンダム)』を、後者では『馬の首風雲録(筒井康隆)』を紹介した伏木は、埋火に「SFを読みたい」と思わせることができたのでしょうか。

公共の場で「戦争」をテーマにした本を紹介するとなると、さまざまな意見が出ることが想定されます。『戦争を取材する(山本美香)』を紹介した埋火に対しても、彼を熱くさせるような質問が出たわけですが、「ビブリオバトル」は議論の場ではありません。体験したことのない「戦争」に、学生たちが本を通じて真摯に向き合ったことが重要なのです。

昨年の都大会で「科学の魔女」こと菊池明日香先輩と互角の勝負を繰り広げたという、ミステリを専門とする「迷宮の女王」こと早乙女寿美歌が登場。彼女のキャラも際立っています。BISの部員たちと好勝負を繰り広げそう。ということは、このシリーズはまだ続くのですね。期待しています。

2016/2