りぼんの読書ノート

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岳飛伝1(北方謙三)

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水滸伝から楊令伝へと虚実入り混じりながら続いた超大作の最終シリーズが、ついに始まりました。

まずはおさらいをしておきましょう。北宋を崩壊に導いた梁山泊が頭領・楊令の下で模索した新しい国の形。それは西域から日本までを結ぶ東西交易と自由市場による中華全土の統一。その理想が既存国家を否定すると危惧した南宋と金は密約を交わして、梁山泊を挟撃するも完敗。南宋軍閥として梁山泊と戦った岳飛も敗れて追い詰められますが、ここで楊令が暗殺に斃れてしまいます。

それから半年後、大洪水に襲われて身動きが取れなくなっていた梁山泊は、呉用を頭領に据えながらも、各人がそれぞれの行動をとるようになっていました。「志」は各人の胸中にあるということなのでしょう。そんな中で、かつて顧大嫂に連れられて西域を調査した張朔(張清の息子)、王貴(扈三娘の息子)、宣凱(宣賛の息子)らの新しい世代も台頭。

金国元帥・兀朮(ウジュ)は撻懶(ダラン)の支援によって敗戦のショックから立ち直ります。政治と軍事を掌握して、再び南進を開始。「盡忠報国」の志の下に岳家軍を再編した岳飛は、抗金を旗印に金軍を迎え撃ちますが、どちらもまだ力試し程度。両軍とも梁山泊軍の存在を無視できません。一方で南宋は、宰相・秦檜のもとで統治機構と軍改革を着々と進め、力を蓄えていました。

まだまだ序盤です。歴史改変はできないでしょうから結末は見えているのですが、著者はどのような構想をいだいているのでしょう。

2013/8