りぼんの読書ノート

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終わらない歌(宮下奈都)

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それぞれに挫折感を抱いた少女たちが高校卒業を前にして「歌」で結びついた群像劇よろこびの歌から3年後、彼女たちはどうなっていたのでしょう。

著名なバイオリニストを母に持つ御木元玲は、音大に進学したものの自分の歌に価値を見いだせなくなってしまい、まだもがいています。劇団に進んだ原千夏は、演出家から「育ちがよすぎる」と言われてとまどっています。彼女が育ったのは、むしろ貧しい家庭だったのですが。肩を壊したソフトボールの元エース中溝早希は、スポーツトレーナー養成用の大学に入ったものの再び将来を見つめ直す必要性を感じています。

恋に悩んでいた美術部員・里中佳子は、ついに完全失恋して何事にも身が入りません。委員長だった佐々木ひかりは、保育士をめざして短大に通っていたのですが、学びたいことが多すぎて4年制大学に移ったとのこと。買っていたのですが講義。「幸福な養女」だった東條あやは、それでも故郷を離れる決意をして街を出ていきます。

彼女たちを待っているのは、どんな未来なんでしょう。毎日もがいて苦しんで、それでも自分を含めて「みんな星だよ」と思える日は来るのでしょうか。ラスト、劇団の若手公演でチャンスを掴んだ原千夏が、強引に誘った御木元玲とともにミュージカルの舞台に立つのですが、もちろん彼女たちの物語はまだ始まったばかり。ぜひぜひ続編を!

2013/7