学生時代には恩人を大韓航空機撃墜事件で失ったことがきっかけで恋人と別れ、30代の時には大切な恋人をニースで失った山崎隆二は、45歳になった現在もまた年下の恋人に去られ、空虚なままで人生をおくっています。
翻訳業も手につかず、かつて携わったアダルト雑誌編集者の五十嵐やライターの高木と再会した途端かかってきた不思議な電話は、「エンプティ・スター」からの助けを求める女性からのものでした。
その女性は、かつての恩人の娘の加奈なのか。彼女はまだ、風俗嬢の世界を抜けていないのか。彼女はいったい、どんな闇に囚われているのか。山崎は彼女を救いに、鶯谷へ、そしてソウルへと出向くのですが・・。
「方向音痴」で人生に迷い続け、彼自身「空っぽの惑星」に住んでいるかのような主人公が「組織」に挑むという終盤の展開には唖然としましたが、「風俗の闇」は暗いですね~。『サンダカン八番娼館』の「からゆきさん」の時代から何も変わっていないようです。
2012/5