『12か月』と『木陰から』に続く、プロヴァンス・エッセイ3部作の完結編です。第1作が1989年に出版されて世界的ベストセラーとなり、リュベロンの片田舎が観光ブームに襲われてから10年後、一時アメリカに住んでいた著者が久しぶりに帰ってきたプロヴァンスは、変わってしまっていたのでしょうか?
それが全然変わっていないんですね。もちろん観光客は増えていて、不動産の値上がりも激しいようですが、リュベロンの村の不便だけれど豊かな生活も、食事に執念を燃やすフランス人のライフスタイルも、10年前と一緒というのはいいですね。^^
ブドウ畑に囲まれたなだらかな丘の上には石積みの家が寄り固まって立ち、広場ではペタングに興じるおじさんたちが激論を交わし(ペタンク競技で一番重要なのは口!)、人気者のマダムが仕切るレストランでは誰もが長い食事とワインを楽しみ・・。
「奇風いっぱいで非能率的で何年住んでも旅行者扱いだが、その全てが面白い」という著者は、「プロヴァンスは期待外れ」というアメリカ人ジャーナリストにムキになって反論します。実名で紹介されたホテルやレストランは混むだろうなぁ・・。
7時間かけて昼食を楽しみ夕食に遅れたとか、こってり料理とワインが長寿の秘訣とか、高級レストランでの食後に心臓発作を起こすのが理想の死に方(もちろん、高い勘定はケチな連れが払うのです)とか、初めての子供にオリヴィエという名前が多い理由とか(オリーブの木の下で恋が芽生えるんですって^^)、楽しいエピソードも盛りだくさん。
さぁ、本気でプロヴァンス旅行計画を立てましょう。
2012/5