りぼんの読書ノート

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007白紙委任状(ジェフリー・ディーヴァー)

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イアン・フレミングによって生み出され、映画のシリーズで世界的ヒーローとなった「007」の物語が、現代のサスペンスの巨匠、ジェフリー・ディーヴァーによって書き継がれることになったようです。

秘密機関の長であるM、Mの秘書のミス・マニーペニー、直属の上司のビル・タナー、秘書のグッドナイト、スパイ道具を開発するQ課といった「周辺」は、原作や映画と同じというのは嬉しいですね。ただ「ディーヴァー版ボンド」はストイックかも。^^

物語は、秘密機関が傍受した「1週間後の惨劇予告」から始まります。手がかりを追ってセルヴィアに飛んだボンドは、アイリッシュマンと呼ばれる男を取り逃がしますが、秘密はイギリス国内にありました。

「世界一リッチなくず屋」こと巨大な廃棄産業社長セヴェランとアイリッシュマンの関係をつきとめたボンドは、2人を追ってドバイへ、そして南アフリカへと赴きます。真の巨悪はセヴェランなのか。惨劇はイギリス国内で起きるのか。それとも・・。

映画の最新作「慰めの報酬」の巨悪が、最先端のグリーン・エコロジー産業の暗部であったように、本書で登場する産廃産業も最先端技術が集結するビジネスのようです。裁断される機密情報を瞬時に読み込む超高速光学スキャナー搭載のシュレッダーや、破壊されたハードディスクからデータを抜き取る装置などは、本当にあったら怖い!さらに、援助食糧を一種の武器として用いる「飢饉のブローカー」構想も現代的です。

本書にはボンドが両親の事故死に疑問を抱くエピソードがありますが、この問題は謎のまま・・ということは、続編もあるのでしょう。

2012/2