りぼんの読書ノート

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修道士カドフェル11 秘跡(エリス・ピーターズ)

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シリーズ11作めになります。1141年、イングランド王位をめぐる身内の争いは重大な局面を迎えていました。女帝モードはスティーブン王を捕虜としたものの、ロンドン市民から入場を断られ、王位につく絶好のチャンスを失ったばかりか、逆に英国南部のウィンチェスターで王妃の軍勢に包囲されてしまいます。

そんな中で、南部の修道院から焼け出された2人の修道士が、小康状態にあった北部のシュールズベリに逃げてきます。年長の修道士ヒュミリスは、かつてシュールズベリ周辺の領主でしたが、十字軍に出征した時に負った重傷が癒えていません。彼は従軍前に当時6歳のジュリアンと将来を約束していたのですが、3年前に修道院に入ったはずの彼女が行方不明になっていることを、以前の部下ニコラスから知らされます。ニコラスは、成人したジュリアンと会って愛してしまい、上司の許可を得て求婚しようとしていたのです。

カドフェルとニコラスは、ジュリアンが持っていたという特別の工芸品をたどって、彼女の行方を探そうとするのですが、ヒュミリスに献身的に尽くしている修道士のフィデリスが、大きな秘密を握っていたんですね。

本書には、以前の登場人物も数多く登場して、それぞれ大きな役割を果たします。元領主の愛人ながら誠実で賢明な女性シスター・マグダレンや、周辺の川の状況を知り尽くしている死人船のマドック、そして、前作で修道院に入った美少年ルーン。もちろん、州執行長官のヒュー・ベリンガーと妻のアラインはレギュラー出演者。

長いシリーズも中盤に入り、多くの者たちが織り成す大河のようになってきました。今回登場しなかったカドフェルの息子のことも気になるんですけどね。^^

2012/2