新年第1発は、おめでたいタイトルの作品からいきましょう。
ナチュラル指向のNPO起業に失敗してから派遣の仕事を転々としていた船山のぞみ32歳は、前の恋人がインドで死んだとのウワサを聞いて衝撃を受けます。平凡な学生だった男を「社会に目覚めよ」と責めた自分に責任があるように思えただけでなく、彼の死を知らなかったということに・・。
「武蔵野吉祥七福神」には昔からの友人で毒舌美女の真沙代を連れていき、「日本橋七福神」では謎の老人と出会い、「亀戸七福神」には今まで会話もしたことがなかった窓際族の会社の上司を連れ出しますが、「港七福神」を一緒に回った元カレの友人モンタから、元カレの死は確認された訳ではなく行方不明になっただけだと聞いて、複雑な気分に・・。
そして元カレの「インド日記」を読んで、彼はちゃんと自分の人生を生きていたことを知って、ひょっとしたらまだカレを好きなのではないかとさえ思い始めてしまいます。退院した祖母を交えて皆で「浅草名所七福神」を巡った際、元カレのように見えた男は誰なのでしょうか。
彼女の揺れ動く気持ちに整理がつくまでの「ちい散歩」小説です(笑)。ちょっとしたことであっても、何か動き始めなければ何も始まらないということですね。
2012/1