りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

史記武帝紀4(北方謙三)

イメージ 1

匈奴から河南を奪還し、西域への道を開いた武帝でしたが、若き勇将・霍去病の急死を境にひとつの時代が終わったかのようです。まだ40歳にすぎないのですが、かつて始皇帝が行なった泰山封禅(天と地に王の即位を知らせ天下太平を感謝する儀式)を挙行するなど、守りに入ったような言動が目立ち始めるのです。

漠北に追いやられた匈奴が若い将軍のもとで集団戦闘を身に着け、武力での南下を目指しているのと対照的に、勝利におごり安逸に慣れた漢軍は急速に弱体化しているようです。

そんな中で、後に過酷な運命を背負うことになる3人が出会いを果たします。司馬遷は、泰山封禅に参列できずに憤死した父親の遺志を継いで歴史家となる決意をし、軍人の李陵は、衛青将軍に才能を認められて次代を担うほどの期待をかけられています。そして文官として頭角を現わした蘇武は、武帝使節として匈奴の地へと旅立ちます。

50歳を超えた武帝のもとで、歴史が大きく動き出そうとしています。この後は、読み進めるのが辛くなるような展開になってきそうですが、司馬遷が『史記』を著わすまでしっかり見届けましょう。

2011/3