りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

廃院のミカエル(篠田節子)

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Xωραホーラと同様に、ギリシャ宗教施設の廃墟をテーマにした小説ですが、雰囲気はかなり異なります。

現地採用の商社をクビになった美貴は、ギリシャで口にした濃厚な蜂蜜にビジネスチャンスを見出して、通訳の綾子や、偶然知り合った壁画修復士の吉園とともに蜂蜜の産地であるギリシャ北方、アルバニアとの国境近くの村を訪れるのですが、廃院となったギリシャ正教修道院に迷い込んでしまいます。

そこで見出したものは、壁に描かれた大天使ミカエルの絵であり、塗り潰されたイコンであり、無人のはずの聖堂に響く祈りの声・・と不気味なものなのですが、それだけでは終わりません。村人たちは、かつて修道士が不思議な病で突然死に絶えたというその修道院のことを話したがらないのですが、今また村人たちの間に不思議な病が流行り始めます。果たして、イコンは何のために塗り潰されたのか。それは聖なのか、邪なのか・・。

という物語なのですが、途中の不気味さは何だったのか・・と思わせるような合理的な謎解きに向かっていく展開は、主題がブレちゃった感じです。

以前、ギリシャの山道を走っていて「HONEY VERY GOOD」という手書きの宣伝看板を何度か見かけたことを懐かしく思い出しましたが、蜂蜜ビジネスはどうなるのか、そっちが気になってしまったのですが・・(笑)

2011/2