りぼんの読書ノート

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バセンジーは哀しみの犬(キャロル・リーア・ベンジャミン)

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離婚歴のある30代後半のユダヤ人女性で、もとドッグトレーナーの私立探偵。そんなレイチェルが、相棒の闘犬ダシールとともに、ニューヨークで発生した殺人事件にハードボイルド調に挑むという、ちょっと変わったミステリです。

ゲイの画家である友人の殺害犯人の捜索を、児童書作家の友人が依頼してきます。警察は同性愛者への虐待事件と見ているようですが、被害者の愛犬が消えていて、犬の利権がらみの可能性もあるようです。一方で、遺作を手にした被害者の恋人と画廊主は、作品を大々的に売り出そうとしています。死後に評価されたモジリアニやゴッホの再現を狙ったのでしょうか?

ポイントはもちろん、被害者の愛犬です。表紙に描かれているバセンジーという犬種は「鳴かない犬」で、自分や飼い主に迫った危機に気付いても、吠えて知らせることができないんですね。でも、その犬は犯人を見ているのです。

もうひとつのポイントは、消えた2枚の絵。天使のような子どもたちの絵と、老いたゲイを描いた絵が消えた理由は何なのか?

チャンピオン犬の子種を巡る利権問題や、ドッグショーの内幕などは新鮮でした。レイチェルの相棒の闘犬ダシールは、エイズ患者施設を慰問したり、日常の用事をこなしたり、飼い主を失ったバセンジーに共感したり(たぶん)、最後にはご主人の危機を救ったりと、大活躍。ワンコ好きの方にお勧めの作品ですね。

2010/12