りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

さよならまでの三週間(C・J・ボックス)

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「現代のウェスタン」であり、「自然派ミステリ」でもあるワイオミングの猟区管理官ジョー・ピケットを主人公にしたシリーズの作者の書いた、ノン・シリーズ作品です。

子宝に恵まれずに赤ちゃんを養女として迎えた30代の夫婦、ジャックとメリッサに対して、赤ちゃんの実父である18歳の少年が親権を主張して、3週間という期限で赤ちゃんを返すように求めてきます。どうやら、人望の厚い連邦裁判所の判事である、少年の父親の意向のよう。

かくして夫婦の「3週間の戦い」が始まるのですが、法的には圧倒的に相手が有利。判事は夫婦に手を貸す友人の刑事を停職に追い込み、メキシコ系のギャングを仲間にしている18歳の不良少年は夫婦に嫌がらせを繰り返す中で、ついに殺人事件まで起きてしまいます。そしてついに「その日」がやってくるのですが、権力欲に溺れた判事と不良息子には、おぞましい秘密が・・。果たして、ジャックの孤独な戦いのゆくえは・・。

この物語の舞台は大都会のデンバーですが、ジャックはワイオミングの出身であり、彼の父親は牧場の監督者。都会を舞台にしながら、「家族」を愛して「正義」を信じて不利な戦いに挑む不器用なジャックの姿は、ジョー・ピケットと重なっていきます。アメリカ人は、こういう物語が好きなんだろうなぁ。

2010/12