りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

鷹の王(C・J・ボックス)

イメージ 1

ワイオミングの猟区管理官、ジョー・ピケットを主人公とするシリーズの第11作では、ジョーの盟友である鷹匠ネイトの過去が明らかになっていきます。前作の冷酷な丘で、陸軍の特殊部隊に所属していたネイトが、退役して身を潜めて暮らしているにもかかわらず、何者かから狙われ続けていることが記されましたが、本作では強大な敵が姿を現すのです。

 

それはネイトを特殊部隊にリクルートした元上官のジョン・ネマチェクという、鷹匠としてもネイトの上手をいく人物でした。特殊部隊時代にウサマ・ビン・ラディンと不都合な関係を持っていたネマチェクは、その罪をネイトに着せて、部下のチームに彼を追わせていたのです。友人のジョーや彼の家族を遠方に逃がし、自分の死を覚悟しながらネマチェクとの対決に臨もうとするネイトだったのですが・・。

 

もちろん心優しくておせっかいで任務には忠実で、銃の扱いはからっきし下手なジョーが、自分だけ逃げるわけはありませんよね。ジョーはたして足手まといになってしまうのでしょうか。しかもジョーの下で見習い猟区管理官を務めることになった青年や、ネイトの元同僚に接近してきた若い女性らも、自分で語っているような人物ではなさそうなのです。

 

作家の北上次郎氏は、このシリーズの以前の解説で「本書をスリリングなものにしているのはストーリーではなく、ジョーの感情なのだ」と述べています。シリーズでは別巻的な位置付けにある作品ですが、ネイトの過去のみならず、ジョーとネイトの友情がストレートに描かれています。

 

2019/4