心優しいワイオミングの猟区管理官、ジョー・ピケットを主人公とする「狩猟ミステリ」も第8巻になりました。このシリーズを読むと、イエローストーンを再訪したくなって仕方ありません。
上司のランディ・ポープから嫌われて猟区管理官の職を失い、変り者の知事スペンサー・ルーロンに拾われて「無任所管理官」のままでいるジョーに、新たな依頼が届きます。それは、ワイオミング州で狩猟中のハンターが連続して惨殺されるという事件でした。しかも被害者の遺体は、狩られた得物のように扱われていたというのです。
これは、狩猟に反対する者が起こした事件なのでしょうか。折しもワイオミングを訪問してきた、全国的な反狩猟組織リーダーのクラマス・ムーアは、事件と関係しているのでしょうか。解せないのは、いつもジョーを敵視するランディが、ジョーを頼りにしているようなのです。しかも、何かを隠しながら・・。
現代アメリカにおける狩猟問題に踏み込んだ本書では、保留地の問題も取り扱われています。それはもちろん差別の問題でもあるのですが、犯罪と卑劣さを許せないジョーは、差別をする者にも憤りを感じるのです。考えてみれば、このシリーズでこれまで保留地問題が登場しなかったほうが不思議なくらいです。
一方、町に住むようになったジョーは、思春期を迎えた娘たちとの関係にも悩むのですが、シェリダンとルーシーのことですから、心配する必要などなさそうです。もちろん愛妻メアリーベスの関係も。あ、義母ミッシーとの関係は修復されてはいませんが・・。
2015/3