海外に出回った上質阿片の産地として、日本をはじめ諸外国から非難を受けた江戸国が、長崎奉行・馬込播磨守こと「金春屋ゴメス」に探索を命じます。捜査の過程で浮かび上がってきたのは、ミャンマー系の少数民族が細々と暮らしている「異人村」だったのですが、すべては巨悪の陰謀だったのでした・・。
前作で日本から江戸に入国してきて長崎奉行の配下となっている主人公の辰次郎クンは、棒術の道場に通って少しは逞しくなったようですが、まだまだひよっこ。上役としてやってきた女剣士・朱緒に惚れてしまうのですが、「身分違い」ですよね。
身分といえば、前作の時に疑問に感じた江戸国での制度が、本書で説明されています。身分制度の厳しい江戸において、多くの人がなりたがる武士になるには、「試験」を通る必要があったんですね。それも何段階もあって、高禄の上級武家になるには超エリートでなくてはならないんです。でも一旦試験を通ったら世襲というあたりは、気になります。
やはり不思議に思っていた「島流し」も解決。本当の島ではなく、山奥にある他から孤絶した地域に「流される」のだそうです。この江戸国は、北関東から南東北にかけてのエリアに存在するのですから。「島流し」の罪人に身をやつして潜入捜査までした辰次郎クンや松吉らの活躍によって、江戸国内の阿片騒動は解決するのですが、この問題、江戸国を抹殺しようとしている海外勢力(ひょっとして国連?)と結びついているようで、奥が深そうです。
次巻に繋がっていくこと必至ですが、せっかくの設定ですので、あまりキャラ小説には走って欲しくないなぁ。
2010/9