りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

四つの署名(コナン・ドイル)

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シャーロック・ホームズ」シリーズの長編第2作です。

ホームズがコカイン注射で退屈を紛らわしているというショッキングな場面に、後にワトソンの妻となるメアリ・モースタン嬢が、不思議な事件を携えて登場。彼女の父親が失踪しての後、正体不明の人物から毎年1粒の真珠が贈られるようになり、ついにその人物から面会を求める手紙が届いたため、助言と付き添いを依頼しにきたというのです。

手紙の主サディアスは、メアリーの父モースタン大尉が失踪した真相と、インドで手にした財宝の存在を語りますが、財宝を見つけて隠していたサディアスの兄バーソロミューは、一行が訪れる直前に殺害されていました。もちろん財宝は影も形もなく消え失せており、死体の傍らに残されていたのは、謎の「四人の署名」のみ。

緋色の研究と同様、事件そのものよりも事件の背景にある出来事が異国情緒たっぷりに描かれます。インドの王族が蓄えていた財宝が、インド大反乱を契機に、どんないきさつで誰の手に渡ったのか。正当な所有者はいったい誰なのか・・。

さすがのホームズも事件現場に残されたわずかな手がかりから、全てを推理できたわけではありません。その多くは捕えた犯人に語らせたわけですが、過去と現在の叙述スィッチは第一作よりもスムーズになっています。アンダマン諸島の原住民に関する部分は、現代の視点からは「かなり差別的」なものですが、それは仕方ありませんね。

「ホームズ・シリーズ」は、ジュブナイル版の抄訳しか読んだことがなかったようです。あらためて全部読んでみましょうか。めざせ、シャーロキアン

2010/6