「めざせ、シャーロキアン!」とのことで春から読んできた「ホームズ・シリーズ」もこれで最後の1冊です。もともとオリジナルには本書は存在せず、新潮社がシリーズを文庫化する際に、各短編集から割愛した作品を最後に1冊にまとめたもの。
技師の親指:水力技師のハザリーは、高額の仕事を依頼したドイツ人から殺されかけますが、親指を失っただけで助かりました。彼が修理を依頼された機械とは何だったのでしょう。
緑柱石の宝冠:大銀行の頭取のホールダー氏は、借金の担保として高貴な人物から預かった宝冠から高価な宝石が失われているのを見つけて驚愕します。犯人は息子なのでしょうか?ところで「ある高貴な人物」とは当時の皇太子(後のエドワード7世)だそうです。
ライゲートの大地主:過労で倒れたホームズは、ワトスンに誘われてライゲートで療養中に、近郊のアクトン家には泥棒が入り、カニンガム家では御者が殺害される事件が起こります、両家は土地の所有権を係争中だったのですが・・。ホームズには謎が薬のようです。
三人の学生:奨学金試験の問題が、教授の部屋に忍び込んだ何者かに書き写されたようですが、用務員のバニスターは誰かをかばっている模様。前途ある学生の名誉も保たれました。^^
ノーウッドの建築士:建築士のオールデイカー氏は、マクファーレン青年に遺産を譲るとの遺言書を書いた晩に殺害された模様。果たして犯人は青年なのでしょうか。そもそも建築士は殺害されたのでしょうか?、建築士は、青年の母に手厳しく振られた過去があったのですが。
スリー・クォーターの失踪:ケンブリッジのラグビーチームの名選手が、オクスフォードとの定期戦を前に失踪してしまいます。これは誘拐事件なのでしょうか?手がかりを握っていると思われるアームストロング博士が、いいキャラです。
ショスコム荘:持ち馬がダービーで勝たないと破産してしまうロバート卿が発狂した? 実の妹で、ショスコム荘の持ち主であるレディ・ビアトリスとの諍いが原因なのでしょうか。レディ・ビアトリスが可愛がっていたスパニエルが重要な役割を演じます。
隠居絵の具屋:隠居した絵具師ジョサイア・アンバリーから、友人と内通した年若い妻が彼の財産を盗んで駆け落ちしたとの依頼がきます。でも、こんな時に家のペンキを塗っているなんて、ちょっと変。手が離せないホームズに代わってワトソン調査に行く作品。^^
ついに10巻全部を読みきってしまいました。これでシャーロキアンになれたかな?
40年の長きに渡って書き継がれたシリーズですが、本書の冒頭の作品は1892年に、最後の作品は1927年に執筆されたものであり、各時代のホームズを読み比べるという楽しみもありました。最後の一冊として、むしろふさわしい構成だったのかもしれません。
2010/12
【シャーロック・ホームズ シリーズ全10巻(新潮文庫版)】
・緋色の研究 長編
・四つの署名 長編
・シャーロック・ホームズの冒険
・シャーロック・ホームズの思い出
・バスカヴィル家の犬 長編
・シャーロック・ホームズの帰還
・恐怖の谷 長編
・シャーロック・ホームズ最後の挨拶
・シャーロック・ホームズの事件簿
・シャーロック・ホームズの叡智
・緋色の研究 長編
・四つの署名 長編
・シャーロック・ホームズの冒険
・シャーロック・ホームズの思い出
・バスカヴィル家の犬 長編
・シャーロック・ホームズの帰還
・恐怖の谷 長編
・シャーロック・ホームズ最後の挨拶
・シャーロック・ホームズの事件簿
・シャーロック・ホームズの叡智