りぼんの読書ノート

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スカーペッタ(パトリシア・コーンウェル)

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一時「国際的陰謀」に走った時期の評判が悪かったせいでしょうか、この数作はシリーズ初期に戻ったような作品が続いています。ただし、登場人物が年齢を重ねているのは仕方ありませんね。「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」のように、「永遠の○○歳」とはいきませんから。

ケイとベントンは正式に結婚し、ケイはCNNの解説に登場する有名人となっています。マリーノは前巻で泥酔してケイに強姦未遂事件を起こしてケイのもとを去り、ベントンの口添えでNY検事・ジェイミー・バーガーのもとで刑事に復帰しています。スーパーレディとなったルーシーは、特技を生かして大金持ちの生活。

あえて主人公の名前をタイトルにつけた本巻では、この4人が再び集結して難事件にあたります。小さな人であるテリーが殺害され、彼女の恋人でやはり小さな人のオスカーに嫌疑がかかりますが、なぜか彼は、ケイを自分の理解者として指名し、彼女としか話をしないとの頑なな姿勢を貫きます。どうして一面識もないオスカーが、ケイを理解者として名指しするのか。さらにネットでケイに対する中傷記事が流れるのですが、実は2つのことは繋がっていて、この謎に事件の核心があったのですね。

もちろんIT関係ではルーシーが大活躍しますし、自分の行為を恥じてケイの前に姿を現せないマリーノも、叩き上げの現場感覚で証拠を拾い集めます。ベントンの心理分析も冴え渡り、かくして真犯人像は浮かび上がってきて一件落着となるのですが、ルーシーとマリーノに新しい恋人もできたようです。

ところで、本書から翻訳者が変わりました。これまでずっとこのシリーズの翻訳をされていた相原真理子さんがお亡くなりになったため、ジェフリー・ディーヴァーの「リンカーン・ライム」シリーズを手がけていた池田真紀子さんが起用されたとのことです。相原さんのご冥福をお祈りします。これまでずっと、楽しませていただきました。

2010/5読了