りぼんの読書ノート

Yahooブログから移行してきた読書ノートです

ダッシュ(五十嵐貴久)

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陸上部のスーパーレディの「ねーさん」こと菅野桃子先輩に憧れている4人の後輩が、手術で片足を失ってしまう「ねーさん」のために奔走します。

それが半端じゃない。彼らが青春をかけて「ねーさん」に尽くす様子は、ちょっと例えは違うでしょうが、「ヨン様に憧れるおば様たち」を髣髴とさせます。もちろん異性としてとびきりの魅力を感じているけど、高嶺の花。自分が付き合うとか射止めるなんて、とんでもない。「無償の愛」と言ってしまうとちょっと違うけど、彼女のために尽くせれば満足!

もちろんそれだけの魅力がある女性なんですけど、彼女もやはり18歳の乙女です。毅然とした態度をとっているけど、彼女の本心は卒業して音信普通になってしまった「モト彼」に、手術の前に会いたいということ。

4人は、それぞれに複雑な思いを抱きながらも「ねーさん」の恋のために奔走します。「ねーさん」はモト彼に会いたいのか。会いたくないのか。会ってどうするのか。どうなって欲しいのか。とにかくもう、自分で自分がわからなくなってしまってるけど、「ねーさん」のためを思って、奇跡を実現するために頑張るしかない!

そうそう、この作者は「普通の人」が夢中になって「奇跡」を起こしてしまう物語を描くのが、めちゃくちゃ上手なんです。つい、彼らの気持ちになって応援させられちゃいますね。「ねーさん」への憧れと奔走は、若い男の子たちの「通過儀礼」だったようです。これで彼らも、自分の恋をつかめるようになるのかな。(少々オバサン目線^^;)

2009/9