りぼんの読書ノート

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静子の日常(井上荒野)

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宇陀川静子、75歳。50年連れ添った夫に先立たれ、息子の家族と同居中。このおばあちゃんがチャーミングなんです。苦手の水泳を習いに通っているフィットネスクラブでは人気者だし、嫁との関係も、つかず離れずでうまくいってるなんてのは、まだ序の口。息子の「中年の惑い」はお見通しで、それとなく問題を解決に導くし、高校生の孫娘の気持ちにも気付いて、恋のお手伝いまでしてしまう。

でも、こんなおばあちゃんの周りにも「老い」は近寄ってきます。「初恋の相手」とのあらためての訣別には、気持ちが揺れてしまうんですね。

高齢化社会の構造的な問題は別として、元気なお年寄りが増えるのは大歓迎だし、「生活の知恵」的なものだって、どんどん活用して欲しいものです。ただこの後、おばあちゃん自身の精神と肉体も老いてくるはず。こんなお年よりには、安らかな大往生を遂げさせてあげたいのですが・・。

最近、母がめっきり老け込んだ気がしています。「老後の問題」は他人事ではありません。

2009/9