りぼんの読書ノート

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西の善き魔女8 真昼の星迷走(荻原規子)

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第6巻闇の左手でこの世界の謎は明らかになったのですが、この世界が不安定であり、これから先、今までと同じやり方では行き詰る可能性が高いということも示されました。今後この世界をどうしていくのか・・というところまで、あえて描いたのが本巻。

従来のやり方の延長、というより、さらに保守化を進めることが唯一の延命策と信じているのが、この世界を900年に渡って司ってきた「賢人」フィーリ。科学の進歩こそがこの世界を破壊するというプログラムをされているフィーリにとっては、異端の科学者ルーンと交際している女王候補フィリエルなんて、許しがたい存在。

一方で、本来はフィーリの「足」として世界を監視してきた「吟遊詩人」バードは、より柔軟であり、フィーリの老朽化を指摘します。フィリエルはバードとともに、世界をフィーリから奪い返す旅に出るのですが・・。

有機体であるバードが更新されるには、赤ちゃんからやり直さないといけないんですね。幼児バードを抱えたフィリエルには、聖母のイメージが重なってきます。もっとも、かなりの促成成長なんですけど。この巻は不要だったのではないか」との声も多いようですが、ここまで書くのなら思い切って、さらに続編があってもいいかもしれません。

ところでアニメ化・コミック化もされたこのシリーズでは、各登場人物のキャラが「やりすぎ」と思えるほどに際立っていました。不思議なもので、キャラ設定を極端にすればするほど、ほかの作品のほかのキャラと似通ってくるように思えます。このシリーズ、その部分はマイナス点。「同性に嫌われるタイプ」のレアンドラは好きだったんですけどね。^^

2009/9